防寒着には様々な種類がありますが、中でも電熱式の防寒着は薄手の生地でありながら高い防寒性を持っているのが特徴です。体の動きを妨げず、効果的に寒さを防ぐことができます。一方で一般的な防寒着とは扱い方が異なるのでその点は注意しなければいけません。
ここでは防寒ベストの特徴や便利な使い方、バッテリーを扱う際の注意点についてお伝えします。
発熱体によって寒さを防ぐ電熱式防寒着
旧来の防寒着は羽毛や毛皮などを用いた、生地が厚い衣類が一般的でした。名前の通り外気の寒さを防ぐ効果がありますが、防寒着そのものは発熱しません。防寒着を着て暖かく感じるのは体温が外に漏れず、防寒着の内側に籠っているためです。
また、防寒着は完全に外気を遮断することはできないので、時間が経つと次第に寒さが伝わるようになります。そのため、暖かい状態を長く保つことはできません。電熱式防寒着は防寒着そのものが熱を持っているので低温の環境に長時間置いても冷えません。
体をいつまでも暖めるなら電熱式防寒着が最適と言えるでしょう。電熱式防寒着は主に裏地部分に発熱体を貼り付けた作りになっています。発熱体は薄いシート状になっている物が多く、内部に多数の電線が通っています。通電させることで電線が発熱し、その熱が防寒着の内側に籠って暖かい状態に保つのです。
発熱体は小型のバッテリーから電気を取っているのでコンセントに電線を繋ぐ必要はありません。電源が確保できない屋外での使用に最適と言えるでしょう。
袖なしの防寒ベストは体を動かしやすい
防寒着は体を外気に晒さない目的もあるので、その多くは丈が長い長袖です。一方で胸部と腹部だけを覆う形になる、袖なしのベストを防寒着として用いることもあります。腕がまるごと露出しますが、袖なしにすることで腕が動かしやすくなるのも事実です。
体の動きを妨げないので工事やキャンプなど、屋外での作業にもっとも適していると言えるでしょう。袖がない分、生地の厚みも減るので折りたたんで収納するのも容易です。防寒ベストは機動性と携帯性に長けた防寒着です。
生地が特に薄いタイプなら他の衣服を重ね着することも可能なので、制服を着るなど服装が指定されている場でも使いこなすことができます。
バッテリーは電熱式防寒着の必須アイテム
電熱式防寒着の性能を引き出すには発熱体に通電させるバッテリーが欠かせません。どれほど上質な生地を使った防寒ベストでも発熱体が熱くならなければ意味がありません。また、発熱体は小さいサイズの割には消費電力量が多いので、市販の乾電池では対応できません。
大容量でありながら携帯性にも富んでいる、小型のバッテリーが最適な電源になります。大抵は防寒着を販売するメーカーごとに専用のバッテリーが用意されていますが、中には複数のメーカーに対応できる汎用品もあります。
基本的にバッテリーの容量が多いほど長時間の使用が可能になるので、屋外で防寒ベストを着るならバッテリー選びにこだわることが大切です。
また、発熱体のサイズや数も消費電力量を左右するので、防寒ベストを快適に着こなすなら予備のバッテリーも用意しておくのが賢明でしょう。
バッテリーを複数使う場合、すべてのバッテリーを均一に使うように気を配ります。
ローテーションを組み、特定のバッテリーだけを使い過ぎないようにするのが長持ちさせるコツです。
防寒ベスト用のバッテリーは断熱加工が施されていますが、それでも一般的なバッテリーと同様に低温に弱い欠点があります。防寒ベストに使っている物は専用のポケットに入れ、予備は外気の寒さが伝わらない容器に収納することを忘れてはいけません。
防寒ベストのお手入れ方法や安全な扱い方
防寒ベストは多くの場合、一般的な衣服と同様に家庭用の洗濯機で洗うことができます。発熱体を裏地から取り外すだけで洗濯が可能ですが、中には発熱体が縫い込まれている物もあります。このような防寒着を洗濯機で洗ってしまうと内部の電線が切れてしまうおそれがあるので、防寒性を保つためにはどれほど汚れても洗うことはできません。
清潔な状態を保つためには多少割高でも、発熱体が着脱式の防寒ベストを選ぶのが得策でしょう。生地の材質によっては高速回転や乾燥機に対応していないこともあるので、必ず生地のタグを確認して正しく洗うように心がけます。
羽毛や綿を使っている物は洗濯の際に生地の内部で偏りが起こる可能性もあるので併せて注意が必要です。発熱体が汚れた場合、清潔で柔らかい布を水で濡らしてから固く絞り、撫でるようにして拭き取ります。強く擦ると内部の電線が切れるおそれがある他、外部のシートも破れてしまうので注意しなければいけません。
また、発熱体は消耗品でもあることから、何度も使い続けると電線が劣化し、過剰に熱くなる可能性もあります。一部分だけが極端に熱い、シートに焦げが生じているなどの不具合が生じた場合は絶対に使用してはいけません。
火傷や感電の他、防寒ベストが燃えるおそれがあるためです。異常が生じた発熱体は速やかに廃棄して新品と交換します。基本的に防寒ベストと発熱体は同じメーカーの物を組み合わせて使いますが、他メーカーの品物でも使用できることがあります。
安全性については防寒ベストの販売メーカーに問い合わせて確認するのを忘れてはいけません。
防寒ベスト用バッテリーは改造や分解を行ってはいけない
すぐに充電が切れるなどの不満から、防寒ベスト用のバッテリーを大容量に改造する事例が稀に起こります。消耗品であるバッテリーは定期的に買い替える必要がありますが、小型の割には高額であり、出費が嵩んでしまいます。
出費を抑えるのがバッテリーの改造を試みる主な理由ですが、電気に関わる物を素人作業で改造するのは非常に危険です。発熱体に送る電気の量が過剰になり、思わぬ事故に遭うおそれがあります。バッテリー本体も発熱や破裂などの不具合を起こす可能性があるので、出費が嵩んだとしてもメーカーが販売する正規のバッテリーに買い替えるのが賢明でしょう。
防寒ベスト用の小型バッテリーに使われているリチウムイオンは人体に有害な成分が含まれているので、廃棄する際は他のごみとは区別します。外装がプラスチックになっている物が多数ですが分別の必要はありません。安易な分解は事故の原因なので避けます。
誰でも着こなすことができる電熱式防寒ベスト
電熱式防寒着は重ね着の必要がなく、短時間で体を暖めることができます。
特に袖なしのベストタイプの防寒着は体を動かしやすいので屋外での作業に最適です。薄い生地なら上に他の衣類を重ねて着ることができるので、体が冷えやすい女性や子供にも便利です。
年齢、性別を問わず誰でも体を暖めることができる防寒ベストは理想的な防寒着と言えるでしょう。